ヒミズ

半年ぐらい放置していたっぽい。ケータイのホームページとかあるしね。手軽さというのは代えがたいものです。
徐々にこっちの更新率もあげられたらいいんだけど。


最近週末に映画を観るのにはまっています。先月は「恋愛写真」「人のセックスをわらうな」あと「最終兵器彼女」も観た。私にとってあんまりお金のかからない娯楽なんです(まぁ映画館なんて1年くらい行ってないし。今度プラチナデータ行くけど。)

そんなこんなでさっき観終えました園子温監督の「ヒミズ」前知識は出てる人とサイトに書いてある程度のあらすじ。暗い話だっていうのは知ってたし難しい話嫌いだしどうかなって思ったんだけど、まぁ、あれだよね、染谷将太二階堂ふみ。1月くらいに買いまくってた映画雑誌に必ず載ってた二人を有名にした映画が観たかったんです。

とりとめもなく書いていきますね。

結論、全然訳わかんなかった。何が言いたいの?って感じで。メッセージ性とか、あったのかもしれないけど私には理解できなかった。ホント私って頭わっるいな〜って観ながら何回も思ったよ。たぶん「象徴的」な場面とかで分かる人は(監督の)言いたいことが分かると思うんだけど、本当に理解できなくてね。いや、理解できなかったっていうか「表面的な理解」なら出来るんですよ。教科書的なね。『泣いてるんだからこの人は悲しんでる』とかさ、それは誰にでもできるじゃないですか。でもそんな単純な理解が正しいってことはないと思うんだよなぁ。うーん。

私が観たのはWOWOWだったので最後に小山薫堂さんと安西水丸さんのトークがついてたんですけど、お二人の言ってることは私も思ったことだったのでこれは単純な表面の理解が正しいのか?とも思いましたけどね。ただアレコレ話題になった映画ってことはそんな一筋縄でいくようなもんじゃないと疑ってるわけです笑。

貸しボート屋の池に建ってる傾いた小屋。あれは劇中でも言ってたけど『津波で流された家』の象徴だと思います。そして池の側には被災者が住んでる。それから冒頭にもあってたびたび出てくる被災地の荒廃した地に立つ人物。これだけ揃うとヒミズは『2011年にしか作れなかった映画』になりますね。あ、あとテレビで原発のニュースとかやってたっけ。
その中でも特に主人公が被災地で何度も何度も自殺しようとするシーンが描かれていました。これは私は『被災者は死にたくて死んだわけじゃないのにどうして被災者でもないお前が死ぬんだ』ってことかなって思いました。まぁ住田くんは自殺してもいいくらいに悲惨な主人公なわけですけど。それでもやっぱり自ら死を選ぶのは違うだろってことなのかなぁと思いましたね。そういえばさっき妹から聞いたんですけど原作では住田くんは自殺するらしいですね。でも映画は生きることを選んだ。それがやっぱり監督のメッセージの大きなところだと思うから、被災地のシーンと照らし合わせてもそういう意味なのかなと思います。


住田くんと茶沢さんが中学生っていうのはとても大きいと思いました。小山さんの言うとおり中学生には見えないんだけど(でも撮ったとき二階堂ふみちゃんは高1ですよね)中学生の義務教育期間で親からも社会的にも守られる立場の子たち。でも少年法では15歳だから守られてないのか。その微妙な時期に親から捨てられて借金背負って人殺してってなるとね。
それと先生の台詞も特に茶沢さんが繰り返し言ってましたね。あれがねー個人的に結構あぁと思ったりして。観てて思ったのは、学校の教育を素直に受けられる子たちっていいよなってことなんです。私は今現在ドロップアウトしてしまって(いや、学校には行ってるけど。普通の顔して)それで映画観たり音楽聴いたりしてるとね、なんかこう・・・違うなって思うの。言葉にできなくてもどかしいな。文句言いながらも一般的に学校に行ってる子ってね、羨ましい。何も知らなくて、っていうか、学校に行くことが当たり前じゃないですか。そう思って生きていけるっていうのは、羨ましいんですよ。茶沢さんがなんであんなに何回も先生の言葉を言っていたのかって、きっとあの言葉を素直に受け取りたかったからじゃないのかな。住田くんに受け取ってほしかったからじゃないかなって、思うんです。そう思って、生きていきたい。生きてほしいって、なるよね。住田くんも茶沢さんもね、純粋すぎるんですよ。それが中学生だなとも思ったけど。純粋すぎるから起きた出来事を真正面から受けてしまうの。二人がもう少し大人だったら、違う行動をしていたと思うし。


一番分からなかったのは茶沢さんの家にある首つり装置?っていうのかな。ロープ。いつでも首つれるぞって。あれはお母さんのためのものなのか茶沢さんのためのものなのか知らないですけどね。しかもなんかクリスマスみたいな赤く塗って電飾つけてて、本当に意味が分からなかった。なんの象徴なんだろう。私がさっき書いた『被災者でもないお前が死ぬのはおかしい』ってことの象徴なんですかね。


それから600万円を持っていった夜野の、金を受け取ってもらうときに言った台詞。この映画って震災後の作品で震災のことをモロ題材にしてるのに分かりやすいメッセージが全然ないじゃないですか。希望の映画、ではあるけど、絆だとかなんだとかそんなのね。なのにこのシーンだけ分かりやすく言葉に出して言っちゃってるんですよ。それがまたよく分からなくて。ここでも私の疑っちゃう心というか、夜野はこう言ってるけど本心はどうなの?とも思ったし。本当に住田くんに未来を託したいから殺人を犯してまでお金を持って行ったのかってことですよ。それにその台詞聞いたあと金子もすぐ受け取っちゃうしね・・・


その話も含めてですけど夜野は殺人しても捕まらなかったし住田くんが包丁持ってても捕まらなかったし実体で警察って出てこないんですよね。意味のあるなしは置いといてちょっと違和感あったな。深夜徘徊も補導されますからね。高校生でもされるんだから住田くんならなおさらされてもおかしくないのに。あ、あと茶沢さんが警察に話しても住田くんに会いに来なかったでしょ?それってありなのかなぁ。


最終的に住田くんは自殺ではなく生きることを選びました。走って自首しに行きます。このラストがあるからこの映画は青春映画とも言えるんじゃないかなって思いました。表面的に受け取るならば、この先住田くんは罪を償って生きていく。希望の映画。託された未来を震災後の日本で力強く生きていくそれがメッセージ。ってまぁ思えますけどねぇ。どうなんですかね。


そうそう、住田くんが徘徊する前に顔中に絵具を塗りたくってましたよね。あれがなんかエロくていいなぁって思ったんですけど笑。泥と絵具の対比的な意味合いがあったりするんでしょうか。しかし絵具はまずいだろうなぁ・・・


でもなんで茶沢さんも住田くんもキスしたんだろう。それまでそんな恋愛的な要素はなかったしキスシーンがあることで別の意味で生々しくなってると思います。性が絡むと生々しくなる。二人の関係って恋愛とは違うところにある気がするんですけどね。キスシーン=恋とか愛とか、っていう連想がだめかな。




まーそんな感じです。
映画の感想なんて人それぞれだし、ヒミズなんて語りつくされてるだろうからこれもネットの片隅のミクロの落書きみたいなもんだと思いますが、私がこの映画を観て感じたことは映画そのもののことじゃなくて、私自身がもっと素直にならなきゃだめだなってことでした。
最近映画観たり音楽聴いたり本読んだり結構文化的に過ごしてると思うんですけど、それでも気になっちゃうのって監督名であったり作家名であったり出演者、演奏者、作詞作曲家とかね。この人の演技がどうだとか歌い方がどうだとかそんな感じのことですよ。
ヒミズ観てても途中までずっと『住田くんが』じゃなくて『染谷くんが』って考えてました。でもね、それだから訳わかんなくなっちゃったんですよ。映画で大切なのは『住田くんが』何を思っているのか、どうしてこの行動に出たのかってことなのに、『染谷くんが』そこで演技をしていることを観ていたって何も感じられないわけです。そこに途中からしか気づけなかったから私はこの映画を少ししか理解できなかったんです。
だからもっと素直になってもう1回この映画を観たいなって思いましたね。そうしたら少しは住田くんの気持ちが理解できるかもしれない。茶沢さんの気持ちが理解できるかもしれない。そしたら自然とこの映画が理解できると思って。
まぁねぇ、分かりやすいメッセージ性のある映画ではないですよね。今は分かりやすくて手軽なものが求められてるのにね、真逆ですから。普段そういうものに囲まれて暮らしている私にいきなり分かりやすくはないものを理解しろってなっても無理っちゃ無理ですわね。だからこそいろんなものをいろんな角度から観ておかないとなぁって思いますよ。まだまだ勉強途中です。




余談ですけどヒミズのサイトいったら「著名人からも絶賛!」ってページに西野カナさんからの言葉が書いてありました。でもあれって表面的にも理解してないんじゃないかなぁ笑。純愛!切なさ!ていうか彼女こそ分かりやすくて手軽な時代の申し子って感じですよね。まぁ私とは別の角度から観てたってことでいいんでしょうけど笑。加賀美セイラって人のコメントもそんな感じですね。なんでコメント求めて載せたんだろう・・・